「ひとりだち」と「一人前」の違い、わかりますか?

皆さまの法人および施設での新人育成の到達点は「ひとりだち」「一人前」どちらでしょうか?
また、「ひとりだち」「一人前」の定義を明確にしていますでしょうか?
 
ピーエムシーが考える「ひとりだち」と「一人前」です。






多くの介護事業所では、夜勤が一人でできシフト上1になった段階で「ひとりだち」と言われているようです。「ひとりだち」に向けての新人育成は概ね36ヶ月を目途にしているとことが多く、新人がシフト上1人工の「ひとりだち」になった段階から、新人への関わりが急激に少なくなり、体系的継続的な新人育成が何となく終了しているようです。
 
具体的な「ひとりだち」「一人前」の定義が明確化されていない事から、関わる指導者や上司も新人を「ひとりだち」から、ある日突然と定義のない「一人前(何となくできる」扱いにしていませんでしょうか?
 
そして1年が過ぎ、法人の「初任者研修」「2年目研修」等の階層別研修を実施することで不安・不満を持ったままの「一人前(現任者)」になり、そのまま時間が経過することで、組織の中で不安や悩みを持ったままの中堅職員になっているのではないでしょうか?
 
よく「中堅職員が育っていない」という声を聞きます。
それは、「ひとりだち」からあるべき姿の「一人前」への指導を受ける機会がなかった事が大きな要因の一つと思われます。
 
これからの「人がいない」時代、少しでも多くの人材を戦力化し、生産性を上げていく必要があります。
 
「ひとりだち」から「一人前」への道しるべを新人育成1年目で創りませんか?
難しい事ではありません。下図右の項目を実施できる仕組みを創るだけです。
 
 
法人の中には、プリセプター、チューター、エルダー、ブラザー制度を取組み、上記の事を含めて1年間、新人育成をしっかりしているところもあれば、上手くいっていないところもあります。プリセプター制度等はとても良い仕組みです。それをどう活かし実践していくかが課題です。



下図は、ピーエムシーの新人育成のキャリアアップです。青色のラインが成長の道しるべです。「ひとりだち」から「一人前」そして指導者レベルを目指しています。ご参考まで・・・

 
 

リーダー育成は法人研修?それとも施設研修?

ピーエムシーは2年前から施設単位での管理者・リーダー育成に焦点を合わせてきています。
今回は、前回のブログ「人材育成の具体策 なぜ今、リーダー研修が必要なのか?」のフォローになります。


出典:厚生労働省 第6回社会保障審議会福祉部会 平成28105日資料(一部変更)
は、リーダーの要件として、介護福祉士として5年程度の実務経験者
は、リーダーの役割として、チーム内の介護職に対する指導・教育・フォロー
は、リーダーのキャリアパスに向けた対応として、チームリーダーとして必要な知識等の修得に向けた現場での研修プログラムの導入

の研修プログラムの導入は、多くの法人ではキャリアパスの階層別研修としてリーダー研修が行われているところですが、ここでのポイントは現場での研修プログラムの導入という点です。
皆さん、気づかれましたか?

社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の報告書(平成2910月)では、
介護職のグループにおけるリーダー育成として
 『リーダーは、介護職のグループによるケアを推進していく者であり、その役割を担うにあたっては、観察力、判断力、業務遂行力、多職種連携力、人材及びサービスのマネジメント力など多様な能力が必要となる。こうした能力については、理論的な知識・技術の修得に加えて、現場の実践の中でそれらを深化していくべきである』としている。

つまり、リーダーの育成の深化は、現場での実践としています。

前回のエッセイ(2018.1.22)「人材育成の具体策」としてのリーダー育成は、法人の階層別研修でなく、施設単位での階層別研修の提案でした。
この違いを理解していただいていたでしょうか?


【前回のエッセイでのリーダー育成の提案】

同じ施設であってもユニット(フロア)間のノウハウやちょっとした工夫、改善方法等の情報を共有し、それを元に積極的に討議し、自己の職場の改善につなげるという仕組みや風土が醸成されておらず、管理者やリーダー個々のスキルに左右されている。そして、なすべき業務(作業)手順、責任範囲等が明確にされていないため、職員一人ひとりの役割分担や連携が不十分になっている。

そのため、施設単位でリーダーの不安や悩みを共有共感する場を作り、リーダー自身が職場を改善しようとする意識・意欲・課題把握と解決するための具体的な知識、方法等を学び習得できる仕組みを風土として醸成するための研修を行う。

リーダー育成」の具体的な提案は、施設単位で毎月13.5時間12回の実施1年間の研修を施設の全リーダー(主任等含む)で行う案としています。

人材育成の具体策「なぜ今、リーダー研修が必要なのか?」


護の社会、「人の確保」に目がいっていた時代から、「人の育成」へとシフトしはじめています。いない人材を待っている事よりも、今の「人材を戦力化」する事で、「人の育成」が「人の確保」に繋がると考える様になってきたからです。

介護事業所が求める「人材を戦力化」するとは具体的に何を言うのでしょうか?

ピーエムシーが考える「人材を戦力化」するとは、根拠を持って主体的に行動ができ、厳しい人員配置の中でも「業務をこなすだけの介護」ではなく、理念をもとに「利用者目線での介護」を行う事をチームで育成できる中堅職員(リーダー)を開発する事です。


簡単にできることではありませんが、危機感がある今だからこそ挑戦していける事です。

2017104日、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会が「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」の提言をしました。この提言の具体的な対応策の一つとして「介護職のグループにおけるリーダー育成」が挙げられています。
 



出典:厚生労働省 第6回社会保障審議会福祉部会 平成28105日資料


人材確保専門委員会の調査では、リーダーは階層別研修で学んではいるが、振り返る場がなく、またチームメンバーへの落とし込みがないため、介護職の統合力や人材育成力などの能力が求められているものの、十分に発揮できていないとしています。

リーダーの不安や悩み
  • 自信がなく漠然とした不安を持つ
  • 職員間の人間関係の調整および不和をおさめることの心労
  • 休日出勤や時間外労働が多く、帰宅後も気が休まらない
  • 年上の新人やベテランの部下らに指導するストレス
  • 利用者の状態に応じた介助方法が適切に判断できない
  • チーム職員との協力態勢を上手く作れない
  • 業務の調整や交渉が上手くいかず、多くの業務を自分でかぶる
  • 仕事の優先順位を上手くできない
  • 知識・技術に自信が持てず、根拠を持っての指導ができない
  • 緊急時対応や事故に対する不安
  • 上司からのレスポンスがなく部下との板挟み
  • 他職種他部署との連携の心労
  • その他
リーダーの課題
  • 十分な経験を積む前に任され、不安や悩みを持って仕事をしている
  • マネジメント力(スタッフ、ケア、リスク)が未熟
  • 現場の課題を捉える視点や解決に向けた発想が乏しい
  • 組織の理念や規範に基づく職場づくりが不十分
【具体的な事例】
同じ施設であってもユニット(フロア)間のノウハウやちょっとした工夫、改善方法等の情報を共有し、それを元に積極的に討議し、自己の職場の改善につなげるという仕組みや風土が醸成されておらず、管理者やリーダー個々のスキルに左右されている。そして、なすべき業務(作業)手順、責任範囲等が明確にされていないため、職員一人ひとりの役割分担や連携が不十分になっている。

課題改善の方策
根拠を持って主体的に行動ができ、厳しい人員配置の中でも「業務をこなすだけの介護」ではなく、理念をもとに「利用者目線での介護」を行う事をチームで育成できる中堅職員(リーダー)を開発するための一例としてリーダー研修を掲載します。(実際に実施し効果が出ている研修です)



リーダー研修(案)

リーダーの不安や悩みを共有共感する場を作り、リーダー自身が職場を改善しようとする意識・意欲・課題把握と解決するための具体的な知識、方法等を学び習得できる仕組みを風土として醸成するための研修を行う。

1.目的
  • 施設の方針をふまえた介護観を持つ
  • 自分の役割を正しく理解し、主体的に行動できる
  • 課題を見つけて改善のための方策を考えることができる
  • 組織の一員として全職種と連携や共同ができる
2.実施時期
  • 20○○年○月~○月(1年計画)
3.研修時間、研修グループ
  • 就業内 3.5時間/1
  • 研修グループ リーダークラスを2グループに分けて実施する(午前Aグループ・午後Bグループ)
4.研修計画