52.自己肯定感についての学び -3 リーダー職の自己肯定感を低くしている人は誰?

ッセイで2回ほど自己肯定感について学び、自己肯定感の高い、低いが、
人の生き方の中でどのように影響して作られてきていたのか、また、今の仕事にどう関わっていく必要があるかなどを振り返りました。


人材育成を常に前向きに行っているI主任から下記メールをいただきました。(赤文字は追記)
 
                                               
いつもお世話になっております。

引用Ⅰ:自己肯定感が低い人の特徴
引用Ⅱ:4種の行動パターン
引用Ⅲ:平気でうそをつく部下の心理
引用Ⅳ:ケアレスミスを連発する人の自己肯定感が低い理由

どれも、あー最近多いな、こういう人対応しているなと感じました。
平気でうそをつく職員はいます。やはり、生い立ちに何かがあるのです。

また、対応の難しい職員とは考えず、これも「個性」と思い日々関わっています。
勘弁して~と思う事も多いです。誰もが嫌がることをするのが私の役割なのかなと最近思います。

苦手な人ほど、難しい人ほど、逃げたくなり、コミュニケーションをとりたくないといった心情になります。
でも、だからこそ、上記の場合は、コミュニケーションを多くとり、調整役である中間管理職がどのように立ち振る舞うかもチームが上手くいくポイントなのかも知れませんね。

「去る者は追わず、来るものは拒まず」と言われたことがあります。ですが、わたしは、時には去る者を必死に追うことも人間らしく良いのではないだろうかと思います。
人生山あり、谷ありですね。
                                                                                                                         


I主任、ありがとうございます。いつも人材育成に真剣に向き合っているI主任からの現実的な生の声をいただき感謝します。多様な人材の生き方を受け入れながら、多様なキャリアパスの実現こそが、これからの介護社会のあり方かと思います。

今回のエッセイは、学び返した『自己肯定感』と、私が昨年来から書き続けてきているエッセイテーマ『組織としての「介護人材のキャリアパスの実現」』との関係性について考えてみたいと思います。
厚生労働省の下図「介護人材のキャリアパス全体像(イメージ)」は、多様な人材の育成と組織としての「介護人材のキャリアパスの実現」に向けた対応を、施設モデルとして概念化されたものです。


厚生労働省 第6回社会保障審議会福祉部会 平成28105日資料

この概念化された「富士山型の施設モデル」の中には、多様な人材がいます。この多様な人材の中には、当たり前の様に「自己肯定感の高い人」もいれば、「自己肯定感の低い人」もいます。

なるべくなら「自己肯定感の低い人」が職場にいないことが望ましいのですが、現実的には「自己肯定感の低い人」は少なからず職場にいます。また、これから更に増えてくることも事実ではないでしょうか。

さて、このような多様な人材がいる中で、今回は、リーダー職について考えてみます。

厚生労働省は「介護人材のキャリアパスの実現に向けて」の具体的な対応として、上図赤印の位置にいる「リーダー」の育成を最重要としています。この事は、エッセイで何度も書かせていただいています。

施設単位である時、このリーダー職が人材育成の要になってきます。古い言い方ですと現場の分隊長です!(古くてすみません。汗;)
この最重要とされているリーダー職での「自己肯定感の高い、低い人」について考えていきます。
 
さて、リーダー職に期待される役割とは何かです。
リーダーの役割は、
①「部下に組織の目標を示し」
②「部下を動かし」
③「部下を目標達成に向かわせる」
ことです。

弊社研究開発室長の斎藤は、リーダーの役割に「部下に安心感を与える」事が最も重要であるとも言っています。この「安心感を与える」は、育成、承認を含めたとても奥が深い言葉です。

上記リーダーの役割の期待から、リーダーにはどんな状況でも物事を肯定的にとらえる「自己肯定感が高い人」が望まれます。「自己肯定感が低い」と、どんなに恵まれた環境にいても、足りない部分を見て不平不満を感じてしまい部下に安心感を与えることができません。

現実のリーダー職の中には、
  • 自信がなく漠然とした不安を持つ
  • 職員間の人間関係の調整および不和をおさめることの心労
  • 休日出勤や時間外労働が多く、帰宅後も気が休まらない
  • 年上の新人やベテランの部下らに指導するストレス
  • 利用者の状態に応じた介助方法が適切に判断できない
  • チーム職員との協力態勢を上手く作れない
  • 業務の調整や交渉が上手くいかず、多くの業務を自分でかぶる
  • 仕事の優先順位を上手くできない
  • 知識・技術に自信が持てず、根拠を持っての指導ができない
  • 緊急時対応や事故に対する不安
  • 上司からのレスポンスがなく部下との板挟み
  • 他職種他部署との連携の心労
  • シフト作成に放浪されている
などの不安や悩みを多く持ち、中には、「なりたくてリーダーになっったわけじゃない」「リーダーを降りたい」と常に言葉に出しているネガティブなリーダー職がいる事も事実です。
つまり、「自己肯定感が低い人」がリーダー職の中にいるということになります。

皆様の施設ではいかがでしょうか。

施設単位のリーダー職は、現場の部隊長です!(汗;)

この部隊長が、上記不安を持った中で、役割である「部下を動かす」ことができるでしょうか。管理者にとって、この「自己肯定感が低いリーダー」の「自己肯定感を高める」ことが重要な仕事になります。

ここで、大事な事は、この「自己肯定感が低いリーダー」がどの「自己肯定感の低いタイプ」であるかを知る必要があります。

エッセイ50で記載した
 引用Ⅰ:自己肯定感が低い人の特徴
 引用Ⅱ:4種の行動パターン
 引用Ⅲ:平気でうそをつく部下の心理
 引用Ⅳ:ケアレスミスを連発する人の自己肯定感が低い理由

また、エッセイ51で記載した幼い時からの自己肯定感の作られ方などが、「自己肯定感の低いタイプ」を知るヒントになります。

いかがでしょうか?何らかのタイプに繋がりますでしょうか?
れらのタイプに繋がるのであれば、自己肯定感が低くなった理由を考え、リーダーと一緒に高めることを行っていきます。簡単ではありませんね。でも、それが管理職の仕事です。

必要によっては、リーダー職を降りてもらうことが良い場合もあります。リーダー、そして部下の事を考えて選択する仕事が管理者です。

さて、エッセイ5051でのタイプに繋がらない事があります。

そうです! 元々、自己肯定感が高い人が低くなってしまっている事があります。

簡単に言うと「モチベーションが下がってしまった人」です。
    は、今回のエッセイで強調したい点です!




これは、管理者のコミュケーション不足によるリーダーとの信頼関係の欠如になります。
やる気のある人をやる気をなくさせてしまっている事になります。
ただでさえも「人がいない」時代です。
管理者のコミュニケーション不足によって、元々「自己肯定感の高い人」を低くすることは、大事な戦力を自分からな無くしていることになります。

恐らく、いろいろな理由があると思います。
が、いろいろな理由がある中、この種の人材を失ってはいけません。
また、リーダーの「自己肯定感を高める」事ができれば、相当な戦力になります。

まず言えることは、管理者がこのリーダーに関わっていない事です。
また、管理者とリーダーのお互いの価値観が擦りあっていなく、リーダーとの信頼関係がなりたっていないという事です。

管理者の重要な仕事は、とても難しいことですが、管理者がリーダーの価値観に合わせることです。

管理者がリーダーの価値観に合わせるには、リーダーの価値観に気づく感性が求められます。管理者が、リーダーが大切にしている価値観に関心を持つことは、リーダーが最も欲している「承認」となり、リーダーの安心感に繋がります。そして信頼関係が築けることになります。

上記の事は、頭でわかっても行動ができません。「リーダーの価値観に合せる」と言っても、中々できません。と言っても管理者であるならば、大事なリーダーを戦力にする必要があります。

以下に高沢公信先生の「コミュニケーション力とリーダーシップ」を引用します。
とても勉強できます。一度では落とし込めません。何度でも読みこんでください。きっと、「リーダーの価値観に合わせる」ことができるあなたがいます。



“リーダーシップとは何か”.能力開発Planninghttp://ppnetwork.c.ooco.jp/prod06608.htm#

コミュニケーション力とリーダーシップ

メラービアンによると,コミュニケーションにおいて,言語のもつ伝達力は7%,態度や表情,身振り・手振りといったボディランゲージが55%,声の調子や口調が38%という。通常,だから表情やしゃべり方が大事だと,コミュニケーションのテクニックに走る。しかしわれわれは言葉によってしか伝えられない。身振りや口調で中身を伝えられるわけではない。大事なことは装飾の部分ではない。その僅か7%の言葉でしかわれわれは自分の伝えたいことを伝えることはできないのだ。

とりわけ,リーダーシップで問題なのは,私的な会話ではない。組織や職場では,コミュニケーション自体が目的であることはない。多くは,たとえば,①ベクトルを合わせるために,②状況認識の刷り合わせのために,③正確な情報の共有の(不確かさを減らす)ために,④ノウハウの共有のために,⑤メンバーの相互理解のために,⑥メンバーの役割確認のために,⑦問題意識の刷り合わせのために,⑧アウトプット(期待成果)を共有化するために,コミュニケーションをとる。

そこで,リーダーシップに必要なのは,話す力と聞く力だ。聞く力には,耳を傾ける「聴く」力と質問する「訊く」力が必要になる。

話す力に必要なのは,前にも触れたが,①何を言っているのか,指示対象・内容の明確さ(対象指示性)であり,②何のためにそう言いたいのか,自分自身の考え・思いを表現する力(自己表現性)である。リーダーシップにとりわけ必要なのは,後者の自己表現力である。「私は……と思う」「私は……と考える」「私は……判断する」等々。みずからを主語としてどれだけ語れるかだ。それがないとは,リーダーシップのおのれの旗がないということなのだから。

リーダーが言葉を発するのは,みずからの意思をキチンと伝えるためである。いくら指示が明確でも,意思のない言葉に力はない。意思の力とは,自己確信である。リーダーシップの信頼のバックボーンは,言葉なのである。もちろん,口調も態度も大事だ。しかし,それ以上に語られている言葉とその言葉への確信なのだ。といって聖人君主である必要はない。怒りも腹立ちもなくすことはできない。それならなまじ「バカヤロー」と言いたい気持ちを隠すよりも,「おれは,バカヤローといいたい気分だ」と,アサーティブに言葉にすることだ。それが,感情を直接ぶつけるのとは違う,言葉によるやり取りを可能にするはずだ。感情を感情としてではなく,言葉として表現しようとしたことで,①自分の感情との間合いが取れる,②相手の感情とも距離を取れる。感情のやり取りを感情のぶつかりあいでなく,感情を言葉にするコミュニケーションの土俵ができる。それが7%の確保なのだ。リーダーシップは言葉の機能しないところでは,単なる,右向け右の世界だ。変化の激しい今日,そうした均質化した組織に勝ち目はない。

われわれは,起きているときの72.8%はコミュニケーションに使う。そのうち45%は聞くことに,30%を話すことに使う(残り15%は読む,10%は書く)。しかも,話すスピードの5~10倍を聴き取ることができる。「聴く」と「訊く」は別々にあるのではない。よく聴くことで,確かめ,訊くことが見えてくる。相手がどういう考え方,見方をしているのか,その枠組みをどうやって理解するかかのためにこそ聞き,そして確かめるために訊く。そこにリーダーシップの聞く姿勢が現れる。

それは,相手の,①経験(何が起きたのか),②行動(何をしたのか,しなかったのか),③情緒(どういう思い,感情をいだいたのか)を確かめ,明確にしていくことである。そのとき,相手の話を単なる他人事の情報や伝聞として聞くのではなく,相手が向き合っている状況や世界を,①そのとき相手が見たり,聞いたり,感じたり,味わったりする感情を受けとめ,②そのとき相手がおかれた立場や役割に立って,その状態や心理を理解し,③そうやって自分が相手の世界を理解したことを,言語的にも非言語的にも相手にきちんと伝える姿勢が必要となる,それを,共感性と呼ぶ。

コミュニケーションを通して,メンバーとの間で何が共有化されたか。たとえば,
①共通の土俵に立てたか。仕事の上での目的・目標が共有化されたか。
②共通の目標を担っているか。何を達成するための役割かが相互確認されたか。
③テーマは共有化されたか。伝えるべきこと(聞かされること)についての土俵は共有化されたか。
④言葉は共有化されたか。相手と同じレベルの言葉・用語になったか。
⑤話は共有化されたか。話の展開は共有化されたか。
⑥話の結論は共有化されたか;結論は一方通行ではなく,相互確認できているか。
⑦話の目的は共有化されたか。何のための話し合いだったかが了解されているか。
等々が,リーダーシップにおけるコミュニケーションの成果となるはずである。

 以上、引用でした。


いかがでしたか。

介護の社会、現場のリーダーがとても重要な位置にいます。彼ら彼女たちが、目的意識を持って、リーダーの役割を担っていくためには、管理者の皆様が、彼ら彼女の「自己肯定感」の作られ方を意識して、自己肯定感を高めていく関わり方がとても重要ではないでしょうか。

リーダーが高い自己肯定感を持って役割を発揮していただければ、その部下も必ずや何らかの影響を起していきます。


自己肯定感の復習です!
  • 高い自己肯定感を持っている人は、建設な努力をして前に進めます。そして努力そのものからも楽しさや充実感を手に入れていきます。
  • 低い自己肯定感を持っている人は、努力を無意味に感じ、仮に努力しても身も心も疲弊しながら前に進みます。

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