人材育成について更に深めていこうと準備をしていましたところ、以心伝心と申しますか、Kさんから下記メールをいただきました。(赤文字と黄色いマーカーは追記)
谷さん
いつもメールありがとうございます。忙しいと返信をしそこねてしまいすみません。
また感想、私見を返信させてもらいます。
そもそも他の業界はこれほど自信のない、肯定感の低い人が多いものなのかどうなのでしょうか?
そもそも介護という仕事が生活を支えるという視点でなんでもありなのだと思うのですが、なぜこんな現状なのかという観点から考えてみると
実をいうと介護は生活を支えていながら誰でもできる仕事ではなく専門家が必要であり、その教育が確立されていないことは大きな問題だと思います。
基本と応用の繰り返しであり自分で判断できる力量がないうちに現場で翻弄されるから悩みも多くなるのではないかと思います。
看護師は学校で専門分野を3年から4年かけて学び、自身がミスマッチだと思えばリタイアします。
ケアという仕事を専門的に考え基本と応用を学びカリキュラムとひとりでキチンと生活するという訓練も必要かもしれません。
そのスキルがない人達が主任とか役割を持つ事はとても大変なのは事実ですね。
私は親に褒められた記憶などありませんが否定は全くされませんでした。
山に行こうが夜遊びしようが自己責任でした。
干渉されなかったというのが現実です。
それではまた
さすがKさんです。自己肯定感から人材育成の必要性を導きだしていただきました。ありがとうございます。
私もKさんが言われる
「基本と応用の繰り返しであり自分で判断できる力量がないうちに現場で翻弄されるから悩みも多くなる」「そのスキルがない人達が主任とか役割を持つ事はとても大変なのは事実です」に共感します。
このスキルを身につけるのが、「現場」になっているのが今の介護の社会ではないでしょうか。こんなことは「とてもできない!」というのか、それとも積極的にこの現実に「挑戦する!」かです。皆様はいかがお考えでしょうか。
さて、2017年12月から書き始めたエッセイも1年が経ちます。この1年間、厚生労働省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の2017年10月4日の報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」の内容を基点として、いろいろと介護人材の確保、定着、育成について考えエッセイで書かせていただきました。
厚生労働省 社会保障審議会 平成29年10月4日報告書
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この報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」では、現場サイドとしての介護人材のキャリアパスの実現に向けた具体的な対応として、一定のキャリア(5年以上の実務経験)を積んだ介護福祉士を介護職のグループにおけるリーダーとしての育成を提言するとともに、次図の「介護人材のキャリアパス全体像」から介護現場の介護人材の育成を具体的に提唱しています。本エッセイでは、この全体像を基に、多様な人材育成や職場、組織、個人の成長についてなども含めていろいろと考えています。
厚生労働省 第6回社会保障審議会福祉部会 平成28年10月5日資料
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介護現場は、本当に「人がいない」中で職員も管理者も頑張って努力しています。この報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」の内容は、私は正論でありこれからの介護現場には必要な考え方だと思います。
が、実際、この図「介護人材のキャリアパス全体像」を介護現場で実践として行うことは、現状のリーダーが持つ今の能力では難しい事も事実ですし、職場や組織が、リーダーとして必要な知識等の修得に向けた現場での研修プログラムの導入に対する体系的な仕組みが創れていないのも事実ではないでしょうか。
ではこの報告書は、正論であるけど、現実性が薄く、現場に役に立たない形だけの報告書だということになるのでしょうか?
この「介護人材のキャリアパス全体像」や報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」の内容を何度か、エッセイで紹介したりしましたが、皆様は、この報告書自体をどのように思われたでしょうか。(報告書 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000179735.pdf)
私のエッセイの書き方が稚拙なこともあり、皆様にはこの報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」と「介護人材のキャリアパス全体像」の良さが上手く伝わっていないのではないかと心配する私がいます。
私のエッセイの書き方が稚拙なこともあり、皆様にはこの報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」と「介護人材のキャリアパス全体像」の良さが上手く伝わっていないのではないかと心配する私がいます。
- 皆様は、厚生労働省のお決まりの形だけの報告書と思われたでしょうか。
あまり読みこまれていないと、この報告書の内容や「介護人材のキャリアパス全体像」は、「できっこない」「できない」「意味がない」「理想と現実」になります。 - それとも今後の介護現場を変えていける可能性を持った報告書と思われたでしょうか。
ただ、丁寧に良く読み込まなければなりません。
また、どう実践していく仕組みを創るかの検討や智慧がとても必要です。
厚生労働省は昨年の10月4日以降、新たな報告書を出してきていません。
厚生労働省は、今後、いかにこの報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」の内容と、図「介護人材のキャリアパス全体像」をどう現場で実現していくかを介護の現場に投げかけきているのではないでしょうか。
報告書を読めば読むほど、報告書や図「介護人材のキャリアパス全体像」は正論ではあるけど、「人がいない」現場での実践はより難しいことがわかります。
皆様はいかがお思いですか。
2年目のエッセイでは、このことの課題を明確にしながら現場でいかに挑戦をしていくことができるかを一つ一つ紐解きながら考えていきたいと思っております。
以下に介護職員のキャリアについてイソップ物語の「3人のレンガ職人」の例えで考えてみてみます。
現実の皆様の職場の介護職員は今、どの様な想いでレンガを積んでいますでしょうか?
引用元:福山市教育委員会PDF(福山市立城北中学校の生徒指導だより)
イソップ童話「3人のレンガ職人」
世界中を回っている旅人が、ある町はずれの1本道を歩いていると、
1人の男が道の脇で難しそうな顔をしてレンガを積んでいました。
旅人は、その男のそばに立ち止まってたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」
すると、男はこう答えました。
「見ればわかるだろう。レンガ積みをしているのさ。毎日毎日、雨の日も強い風の日も、暑い日も寒い日も1日中レンガ積みだ。なんでオレはこんなことをしなければならないのか、まったくついてない。」
旅人は、その男に「大変ですね」と慰めの言葉を残して、歩き続けました。
しばらく行くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会いました。
しかし、その男は、先ほどの男ほどつらそうには見えませんでした。
そこで、また旅人はたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」
すると、男はこう答えました。
「オレはね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これがオレの仕事でね。」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると、意外な言葉が返ってきました。
「なんてことはないよ。この仕事でオレは家族を養ってるんだ。この仕事があるから家族全員が食べていけるのだから、大変だなんて言ったらバチが当たるよ。」
旅人は、その男に励ましの言葉を残して歩き続けました。
さらにもう少し歩くと、別の男がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいました。
旅人は興味深くたずねました。
「ここで、いったい何をしているのですか?」
すると、男は目を輝かせてこう答えました。
「ああ、オレたちのことかい?オレたちは歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると男は、楽しそうにこう返してきました。
「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ!素晴らしいだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、元気いっぱいに歩き始めました。
現実と理想のギャップはたくさんあります!
でも、疲れきった顔をした職員ではなく、生き生きした職員が働く職場にしていきたいですね。それは夢でしょうか?
私はできると信じています。
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村山昇.働き方の哲学.ディスカヴァー・トゥエンティワン,2018,263p [P159 絵:若田紗希]
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