しかしながら、人手不足のこともあり、毎日の忙しさに「利用者に関わり」「チームを組みながら」「より良い介護を目指して」「自己成長を求めて」などを考えて、仕事をしている介護事業所の職員は、どれだけの方がいるのでしょうか。
理想と現実があるかもしれません。
ピーエムシーは、昨年から介護事業所単位の職場の皆さん全員で、職場の「働きやすさ」や「不適切ケア」を話し合う場を作る「高齢者虐待防止研修」を行っています。この研修の目的は、高齢者虐待を切り口に、自分たちの職場の「働きやすさ」について考えることです。
簡単なことではありませんが、この研修の行きつくところは、「利用者に関わり」「チームを組みながら」「より良い介護を目指して」「自己成長を求めて」の理想を目指す「働きやすい職場」を、職場の皆さんが考え挑戦していく風土を醸成することです。
先週、この研修に参加していた研修先の課長さんから、「6ヶ月先には大きく変化が出てきますか」と質問されました。私は「出ません」と、そしたら「1年後には大きく変化が出ますよね」と、また、私は「変化は出てきますが、大きくは出ません」と。
期待する気持はわかります。しかし課長自身から、下図の人材育成の大きな石を押す汗をかかなければ変化は作れません。研修で、職員皆で決めて実行する「グランドルール」を課長自らが、率先して、かつ職員に波及していくための汗をかいていただければ、間違いなく「変化が出てきます」し、汗のかき方によっては「大きな変化」が期待されます。
次ページで、
弊社の斉藤研究開発室長からの研修を行ってのコメントを記載しました。
※2年目以降は、「高齢者虐待防止研修」でない切り口にしている介護事業者もあります。
下図は、研修で使う『全職員からの「利用者対応と働きやすさ」に対するアンケート』のサンプルです。
少し思いだしてください。以前のエッセイで、介護の社会での「個人の成長」は、個人の努力だけで期待することは難しい、「職場の成長」「組織の成長」ができる仕組みがあって、はじめて「個人の成長」が促されると書きました。言い換えれば、職場に職場・組織を「成長させる風土」があるかどうかで「個人の成長」は大きく影響を受けるということです。
介護の社会は、「人の確保」がとても難しい時代になり、多様な人材の採用や多様な勤務時間での採用を余儀なくなっている中で、利用者の多様なニーズを取り込み、サービスの質の向上を継続的に求められています。介護事業者は、このような厳しい状況を乗り越えるためには、「職場の成長」「組織の成長」「個人の成長」ができる成長風土を新たに作る、あるいは見直し、あるいは強化を行い、一定程度(全職員の半数)以上の職員の戦力化を図る仕組みを作る事が喫緊の課題ではないでしょうか。
・・・・・と書いたエッセイがあります。思いだしていただいたでしょうか?
多くの介護事業所は、管理職、事務総務、介護、看護、ケアマネ・相談員、栄養課、など多職種の方が、それぞれのサービス内容やフロアやユニットなどの構造上の隔たりがある中で、仕事をしています。
このような多職種や構造上の隔たりがある中で、よりよい質の高い介護を継続的に行っていくためには、理念を基に事業所方針を全職員が前向きに推進している事と思いますが、ここにも理想と現実の壁が大きくあることも事実です。
この理想と現実の壁をどのようにして崩していくか。大きな壁としてあきらめるか、それとも、壁を壊していくことに挑戦していくかが管理者の大きな仕事の一つです。
壁を壊すため、挑戦するためには、まず職員のアセスメントが必要です。そして、職員がどのように考え、どのようにしていきたいか、話し合う機会が必要なのです。
ここで管理者(施設長+課長クラス)の皆様の力(汗)が必要なのです。この話し合った結果をどう生かしていくか(モニタリング)、そこに力点が必要なのです。実際、管理者(施設長)と課長、課長と主任、主任とリーダー、リーダーとリーダー、リーダーと一般職員との間にも大きな溝がある事が多いです。これら溝を埋めることが大きな仕事です。簡単なことではありませんが、管理者(施設長)がやらなければならない仕事なのではないでしょうか。
0 コメント:
コメントを投稿