3000人のデータ-から介護職員のエゴグラムを読む







 
ピーエムシーで実施した調査(介護職員約3,000人)のデータを基に考察してみます。



Ⅰ.平均のエゴグラムから介護職員を読む


※( )内の数値は、ピーク、ボトムで複数該当する人を取り込んだ数値


介護職員は、かなりバランスのとれた集団です。思いやりや優しさなどの温かさを十分に持ち、責任感や倫理観、そして協調性は標準以上にありますが、対人関係に少々気をつかい過ぎ、自分を押し出すよりも、周囲のものをたてて、調和のとれた職場環境をつくる傾向が見られます




Ⅱ.データーから見た介護職員のエゴグラム 出現頻度の多い順


1.『NP優位型』
ボトムエゴグラム
介護職員に一番多いタイプです。
心優しく常識人の集団です。仕事に関しては、今一つの観がありますが、なによりも他人に対する思いやりが先行するタイプです。部下を指導・注意することが苦手です。総合的な判断力や創造力がもう少し高くなれば、もっともっと仕事ができる方たちです。もう一つ欲を出して欲しい集団です。



2.『A低位型』
ピークエゴグラム
介護職員に2番目に多いタイプです。
優しさと素直さが高く、介護の仕事に前向きな人達です。しかし、自分の周囲で何事が起きると、すぐさま自分の言動が原因の一つになったのではないかと気をまわしたり、自分は役立たずの存在ではないかなどと、いつも気の休まるときというものがない、いわゆる過敏性性格の集団です。
リーダーシップを持つためには、情報を集めてから判断するなどのAをあげるトレーニングを積むことが必要です。


 
3.『AC優位型』
ボトムエゴグラム
介護職員に3番目に多いタイプです。
優しさや思いやり、責任感や倫理観は標準以上に持っていますが、協調性が強く、他人に良くおもわれようとする気持ちが、非常に強く主体性がなく、周りを気にしてばかりいる集団です。
自信がなく本音を語りあったりすることが苦手で、かつ自分を抑え過ぎるためにストレスが溜まる人たちです。
上司が話を聞くなど、自分の気持ちを素直に表現することができる職場環境が必要です。



4.『FC低位型』
ピークエゴグラム
介護職員に4番目に多いタイプです。
仕事が大好きな人達です。しかし、自分のために生きているのか、他人のために生きているのか、考えれば考えるほどわかならくなってくるタイプの集団です。
自信がなく本音を語りあったりすることが苦手で、かつ自分を抑え過ぎるためにストレスが溜まる人たちです。
上司が話を聞くなど、自分の気持ちを素直に表現することができる職場環境が必要です。
 


5.『AC低位型』
ピークエゴグラム
ほぼ理想に近いグラフ型だといえます。理想が高く、倫理感や仕事に対する責任感も充実していて、しかも適度
の思いやりや寛容の精神もあり、非常に合理主義者で判断力や分析力も高く、感情面でも喜怒哀楽の表現が潤
沢です。自分の考えをはっきる伝えることができ、リーダーに向いています。
 
 
 
6.『CP優位型』
ボトムエゴグラム
理想を求めたり、責任感や道徳などを重視する心の部分だけが、平均よりも高いタイプです。他の部分はごく一般的な性格の持ち主で、どちらかというと仕事人間で、まじめ人間です。自分を甘やかさない一方、他人にも厳しいタイプですから、どうしても周囲の人との摩擦が問題となります。人に親切にする、人の良いところを見つけるようにすることで、人間関係もスムーズになり、イライラすることも少なくなります。



7.『FC優位型』
ボトムエゴグラム
比較的バランスのとれた多情多感型の集団です。責任感や他人への思いやり、判断力、そして周りとの協調性は平均的です。とても感情が豊かで、明るく誰とも打ちとけ話すことができます。しかし、天真爛漫で、自己中心的に考え行動する傾向があります。自分の思いつきで行動することが多く、他人に対する配慮が足りていません。言わなくてもいいことをいってしまうなど、一呼吸おいて考えて行動することが必要とされます。



8.『CP低位型』
ピークエゴグラム
感受性が鋭く、人あたりが柔らかく、思いやりがあって、人づきあいを大事にする集団です。神経のこまやかな温厚派タイプで、女性でいえば良妻賢母といえます。男性の場合は、少し覇気が欠けていて、今一つ物足りなさを感じるタイプです。部下を指導、注意することが苦手です。自分の考えを主張することは苦手で、社会的な行動の規範が自分になく、周りの状況や、他人の言動・表情・姿勢等が基準になっています。



9.『A優位型』
ボトムエゴグラム
なすべき仕事の範囲などを的確に把握していて、その実現に精神を集中できる方たちです。仕事には厳しいが、思いやりや同情心も厚く、判断を誤ることはめったにありません。子供心が低いので、冷たい印象を与えてしまいます。テキパキと自分で物事の計画をたて、行動します。



10.『NP低位型』

ピークエゴグラム
責任感や使命感が強く、なんとか自己実現を図ろうとする集団です。しかし、非常にクールな気質を持ち、神経過敏ともいえる対人関係の気遣いをする傾向が強いです。他人に対して優しくするよりも厳しくします。優しい言葉を今以上に自分や周囲にかけていくことが必要です。また、上司からも優しい言葉をかけていくことが必要です。



Ⅲ.最後に
以上、3000人の介護職員のデーターから、リーダーや指導者に任命する場合の課題と関わり方について記載してみました。個々いろいろな性格のパターンがあります。管理者(施設長)や上司が、それら性格がわかった中で、介護職員一人ひとりの特性に合わせて、精神的な関わりや支援を行うことが、人材育成や人材の定着に大きな効果を期待できるものと思われます。

エゴグラムは、とても有効的な精神支援のツールですので、ぜひ活用することをお勧めします。 




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