42.新人育成6ケ月目以降での重要なポイント!

今回のエッセイは、新人育成6ヶ月目以降の育て方が、どの法人・施設も上手く出来ていないのではないかと思われる点を挙げて、そのできていない点を強化してもらいたく書いております。

4月から入職した新人の育成は、6ケ月経った10月から、多くの施設では夜勤を含めた業務を1人で行ってもらう「ひとりだち」に入っていく時期です。施設によっては、この「ひとりだち」を入職してから3ヶ月目で行っているところもある一方、新人の資質素養によって、6ヶ月経っても「ひとりだち」ができない新人もいます。

介護の社会の一つの目安として、6ヶ月目で「ひとりだち」であることを基準として、「ひとりだち」してからの新人への関わり方を今回のエッセイで学んでいきます。

前のエッセイでSL理論を基にした新人指導の在り方について書きました。

皆様、覚えていらっしゃいますか?

エッセイ『3235「一人前」の介護職員を作ろうではありませんか!』で人材育成理論「SL理論」を基に新人育成のあり方を書かせていただきました。

もう一度振り返ってみます。

SL理論」とは、リーダーが部下を育成する理論の一つです。

http://www.earthship-c.com/leadership/situational-leadership-theory.html
「SL理論」とは、
リーダーシップのコンティンジェンシー理論の1つ。
唯一最適なリーダーシップ・スタイルは存在せず、有効なリーダーシップ・スタイル(新人育成)部下(新人)の成熟度などの状況要因に応じて変わるとする考え方。
米国のP. ハーシーとK. ブランチャードが発展させた。状況対応型リーダーシップともよばれる。
SL
理論では、部下の職務ごとの成熟度を能力やスキル、積極的姿勢、自信、手際のよさなどをもとに4段階に区分し、それぞれに有効なリーダーシップのスタイルが次のとおり示された。
1.
指示型(成熟度:低)……部下の役割と職務を明確にし、細かく監督する。
2.
コーチ型(成熟度:やや低)……指示はこちらが与えるが、部下の意見も聞く。
3.
援助型(成熟度:やや高)……日常の意思決定は部下に任せるが、管理は一緒に行う。
4.
委任型(成熟度:高)……管理は一緒に行うが、こちらが関与するタイミングは部下に決めさせる。


上記「SL理論」を新人介護職員の指導の関わり方として下図で説明しています。

理想の新人育成の工程 指導期間1年とした場合

 

SL理論での「援助」を「支援」に切り替えています。

 
思い出していただいたでしょうか?

「SL理論」としての6ヶ月目以降は、理想としての指導は「支援」の段階になります。
※『注意』あくまでもSL理論での指導は、その新人の成長具合や個々の学びに合わせることになります。例えば、まだ「ひとりだち」していなければ、「コーチ」「指示」の指導を選ぶという考え方です。



今回のエッセイの課題である6ヶ月目以降で上手く行われていないと思われる新人指導」は、この「SL理論」での「支援」の一つである内省(振り返り)の仕組みの構築が、どの法人・施設でも意図的計画的に行われていなく、指導者が新人に自己成長させる事の指導育成ができていないのではないでしょうか。

いかがでしょうか。
下図のように新人を放置していませんでしょうか。


私は、いろいろな法人、施設、指導者の方とお話しをさせていただくと、当たり前のことですが、この「SL理論」自体を知らない、また、6ヶ月後の新人育成に力を入れている法人・施設も少ない様に感じます。6ヶ月以降、居室担当やケアプラン作成の指導を行うものの体系的計画的に新人の自己成長力をあげる指導が少ないのが実態ではないでしょうか。

結果、新人は、業務上の「ひとりだち」になっていきますが、「不安や不満」がなくなることがなく、下図の「ひとりだち」のまま、1年が過ぎ、その後、下図の「一人前」に成長していく機会がなく、ただ経験のみの年数が経っていく。


そして、5年くらい経った時、「○○さん、今度の新人の指導者になってくださいね。いい勉強になるから・・・」と指導者に抜擢されて、新たな新人が「一人前」にならなく、下図橙色の「負のスパイラル」にはまっていくのです。


さて、今回のエッセイでは、この負のスパイラルをなくすためには、「ひとりだち」以降の自己成長力を高める指導の方法を具体的に学んでみます。

ピーエムシーの新人職員育成100日プログラムは、SL理論の「指示」「コーチ」の支援を主に行っています。今回のテーマであるSL理論「支援」「委任」に関して、ピーエムシーも学び研究していくところです。(ピーエムシーの2018年度以降の研究テーマになります)

下記文面は、このエッセイを読んだピーエムシーの研究開発室長である斎藤洋のコメントです。
そうだな・・・と思う私がいます。

社長のエッセイを読んで思ったことは、
経験学習理論を知らなくても、この理論を踏まえた教育は介護現場でいままでにも行われてきており(事例検討など)それが人員不足で出来る機会が減ってきたという現状があると思います。

ただ、いままで介護現場で行われきた事例検討も、よほど力のある人がファシリテーターとしてかかわらない限り「概念化(教訓化)」ができず、中途はんぱに終わってしまっていたのではないかと思います。だから効果もあまりでなくて、効果ないから研修やめてもいいかもね、となってしまったのかもしれません。

新人教育だけでなく、事故発生時の要因分析とか、人事考課の目標達成度評価とか、概念化を学ぶチャンスは普通の業務の中にあるんだけど忙しいという理由でそこが出来ていないのだと思います。

だから施設長が現場の様子をみて、現場の仕事が経験学習のサイクルまわしているかどうかをよく確認し、できていなかったら、介入して教えることが大事かなと思いました。






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