配置基準3:1に対して介護老人福祉施設(従来、ユニット型含めて)の全国平均は2:1であることは、理論上は最大1.5倍の生産性を向上することができます。今回のエッセイでは、生産性向上の報告書や研究論文を基に、生産性を向上する意義や生産性向上の観点から見た介護事業所の問題や課題を学び、自施設の現況に落とし込んでもらえたら幸いです。
政府は人口減少時代の対応として「一億総活躍社会」の実現を掲げ、「名目GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」を目標としています。「一億総活躍社会」の実現の対応策の一つに「労働生産性」の向上があります。日本の人口ピラミットを見ると、今後の生産人口の増加が期待できないのは明白で、一定の経済成長を目指すためには時間当たりの労働生産性の向上が求められています。
介護も労働生産性向上は避けて通れません。下記は平成30年度の国の方針です。
厚生労働省 介護事業所における生産性向上推進事業【新規】 平成29年10月18日資料
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国は、介護事業所における生産性向上として、ICT化と介護ロボットの活用による業務の効率化、業務プロセス、作成文書の見直し等の調査研究を実施し、ガイドラインを作成してから普及啓発啓蒙を行うとしています。介護事業者にとっては、現場に有効なICT化とロボット、作成文章の見直し等のガイドラインを早期に期待するものです。
※この4月、厚生労働省が介護の現場に課しているペーパワークの半減に向けて、パブリックコメントを募集していますが、内容的には施設の指定申請や施設の設立認可に関する事であり、「介護の現場」に有効的とはほど遠いと思われます。とても介護の現場が助かるものではありません。形だけで終わらない事を祈ります。
ここまでは、ほとんどの介護事業所の責任者は知っていることですね。
(株)NTTデータ経営研究所の平成28年度報告書「介護サービス事業における生産性向上に伴う調査事業」を基に、介護における生産性向上の意味あいを学んでみます。
下記は、「生産性を向上する意義」について、当該報告書からの引用です。
(株)NTTデータ経営研究所. 介護サービス事業における生産性向上に向けた調査事業報告書.平成29年9月5日
(一部変更)
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上記の考え方を、自分なりに整理していくことがとても大切と思われます。
下記は、「生産性向上」を「介護労働の価値を高める」に読み替えを行った理由です。
(株)NTTデータ経営研究所. 介護サービス事業における生産性向上に向けた調査事業報告書.平成29年9月5日
(一部変更)
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生産性向上は、人を減らすことが目的でなく、質の向上を目的とすると言っています。この意味あいを吟味することで、ピーエムシーがエッセイで伝えている「少ない職員でも、質の高いサービスを継続的に提供できる体制づくり」に繋がります。
(株)NTTデータ経営研究所の平成28年度報告書「介護サービス事業における生産性向上に伴う調査事業」は、いかにして介護労働の価値を高めるかを介護における生産性向上のテーマとし、介護事業へのコンサルティングを実施した結果を報告しています。調査の手法は、製造業に蓄積する多様な知見を活用していますが、この結果報告からは、ある意味、介護事業者として、真摯に振り返る重要な点が指摘されていると私は感じ、この指摘をどう受け止め、事業に役立てるかが介護事業者の力量ではないかと考えます。
上記の補完です。本事業においては、製造業に蓄積された生産性向上に関する知見とは、3M(ムリ・ムダ・ムラ)の視点から経営上や現場の問題を整理し、5S(整理・清掃・整頓・清潔・躾)の認識に基づいた改善活動を通じ、その活動が定着するまでの一連のプロセス全般と捉えることを基本方針とした。(当該報告書からの引用)
下記は、事業推進に伴い得られた介護現場における生産性を高める5つ視点と課題です。
上記、5つの視点とそれぞれの課題は、いかがだったでしょうか。これらの課題は、皆様においては十分に認識されていることと思われますが、現場職員的には「人がいない」「忙しい」等が先行しているのが現状です。そこをどう手を入れていくかが、国が言う「現場の研修プログラムの導入」なのかもしれません。
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