37.ピーエムシーの外国人介護技能実習生の育成の考え方

1.外国人介護技能実習生制度の課題について
20188月現在の介護技能実習生の現況は、下図で表しているように混迷しています。1企業では、到底わからない利害が、国内で、そして送り出し国でもあるようです。人材が欲しい介護事業者や送り出し国の技能実習生候補生こそが、本当に迷惑しています。








ピーエムシーは、新潟県の介護事業所の介護職員に対しての人材育成と人材育成に伴うコンサルティングを主な仕事として行っています。弊社クライアントの外国人介護技能実習生への期待は、単純労働ではなく、介護職員として自立できる人材の確保です。

地方の介護事業者の多くは、掃除、リネン、食器の片づけ、食事の配膳下膳、職員の補助的な業務は、地域のシルバーさんの協力を得ています。このような単純労働の受入を求めているのは、大都市圏の病院や大手民間系列が主であり、地方の介護事業者の多くは、身体介護ができる介護職員として自立できる人材を求めているのではないでしょうか。

この単純労働介護職員として自立できる人材の確保は、大都市圏の病院や大手民間系列が、時給1000円前後で特に勉強しなくても就労できる単純労働とした介護職を受入れた場合、地方が求める介護職員として自立して身体介護ができる介護技能実習生の量的確保ができなくなる可能性があり、介護技能実習生制度に大きな影響を起こす事と思われます。

このようなことは、1企業であるピーエムシーが心配してもどうなる事でもありませんが・・・。


2.日本人の新人育成の最近の課題について
外国人介護技能実習生の人材育成について考える前に、日本人の新人育成の現況について少し整理してみます。

介護の社会は、多様な人材の入職に対して、職場の人員が手薄であり、今までの人材育成のあり方を見直す必要が喫緊の課題となっています。

一昔前までは、人を選ぶことができましたが、最近は、来る人拒まずで、本人曰く「頑張って働く人」であれば受け入れざるを得ない現況ではないでしょうか。特に下記の新人が増えてきているように思われます。
  • メンタルの弱い人
  • 無資格、未経験、高年齢の人
  • 倫理・道徳・適正が不安定な人
  • 発達障害と思われる人
「人がいない」ことに伴う多様な新人の入職によって、新人を指導する指導者自身も不安を多く持っていませんか。この事は、どの介護事業所も同じではないでしょうか。









このような多様な新人に対して、介護事業所は、下記の赤く記載した点での育成が必要になってきています。
  • メンタルの弱い新人のメンタルをフォローしながら育てる
  • 無資格、未経験・高年齢の新人を、その人にあわせたフォローして育てる
  • 倫理・道徳・適正が不安定な新人を、その人にあわせたフォローして育てる
  • 発達障害と思われる新人を、職員・施設幹部との協力を得て、業務に馴染ませる
上記の指導育成は簡単なことではありません。

ただでさえも「人がいない」中で、指導者含めた介護職員に相当な労力とストレスの負担を与えることになっていますが、介護事業者にとって多様な人材に対する人材育成の見直しは、喫緊の課題になっていることも事実です。

下図は、人材の確保の主体から、人材の育成へと施設の方針転換を行い、人材の確保、定着の好循環を描いた関連図です。「人がいない」事実の中で、職場改善を含めた「質」の向上が、人材確保、人材の定着に繋がるという理想図です。

現実、新たに入職してくる方の質は下がってきています。しかし、その事を含めて、今いる職員がいかに現実を見据えて、今後の介護職場を「働きやすい職場」「利用者に沿った職場」にしていくか考えて挑戦していかなければなりません。

何度も書いていますが、簡単な事ではありません。法人、施設の管理者の覚悟があって、職員もついていきます。下図左の絵のように、重い石をみんなで「質」と「量」の好循環に持ち上げていくことなのです。





3.外国人介護技能実習生の育成の考え方について
さて上記、日本人介護人材の育成も厳しい中で、外国人介護技能実習生が入ってきます。

この様な状況の中で、介護事業所に外国人介護技能実習生を導入するのは、「質」と「量」の兼ね合いから、「質」をあげるためには、どうしても「量」の確保が必要とするからです。

これは、経営判断です。介護職員がどうのこうのではなく、トップが決めることです。

介護事業者は、外国人介護技能実習生を受入れ、介護職員として自立して身体介護ができる人材に育てることが重要な責務になりますが、同時に、日本人の新人育成と同様に実習生の指導者や受入れる介護職員に相当な負担やストレスを与えることも事実です。

この決断からの介護事業者の仕事は、入国してくる外国人介護技能実習生と実習生を指導する指導者受入れる介護職員負担やストレスを少なくすることではないでしょうか。

介護事業者の仕事は、大きくは下記2つことだと思います。
  • 入国時の日本語検定はN4でなく、N3レベルの合格者であることをお勧めします。 
    実習生、施設職員にとって、入国後のN4→N3の習得に力を入れる事が仕事ではありません!
    仕事を教え覚えていただくことが仕事です。
  • 実習生の指導ポイントが明確に分かる仕組みを準備することをお勧めします。
    日本人の高卒を丁寧に教える仕組みを想定されても宜しいかと思います。
 外国人介護技能実習生(N3レベル合格者)と指導者の想いの違いは
 実習生は、N3を取得したこともあり、不安の中でも頑張ろうという気持ちと、学んできたというプライドを持っています。受入側の日本人の指導者は、実習生の気持ちを受け止めようとしますが、実習生の不安や悩みの具体的な気持ちがわからなく悩んでしまう事になります。





4.ピーエムシーの外国人介護技能実習生の育成の考え方
 ピーエムシーの日本人新人介護職員育成、在日外国人介護士育成、EPA介護士育成、介護留学生の就業支援のノウハウから開発した外国人介護技能実習生の成長サポートプログラム」を紹介します。皆様の指導にご参考にしてください。

 「外国人介護技能実習生の成長サポートプログラム」のコンセプト

外国人介護技能実習生が、日常の業務をできるだけ無理なく、自然に行え、楽しく働いていただけるための人材育成の成長支援プログラムです。

上記『日常の業務をできるだけ無理なく自然に行え、楽しく働いていただける人材育成』ができたらとても助かりますよね。




 具体的な成長サポートプログラムの概要です。
 大きくは、3つに分かれます。


1.基本業務・態度
掃除・準備・片づけ等の施設での基本業務と、学ぶ姿勢・利用者への態度・定められた手洗いなどが入国3ヶ月でできるようになるための指導をサポート



2.身体介護技能
食事・排泄・体位変換・入浴・衣服の着脱・移乗移動の身体介護を技能評価試験(主管:シルバーサービス振興会)の入国3年目レベル(自ら考える、できる)までを1年でできるようになるための指導をサポート



3.実習生への関わり
性格診断で実習生個々への関わり方、メンタルチェックで現在の不安要素(業務面の不安度・生活面の不安度)、介護用語理解度テストで用語の理解度がわかり、また実習生への学びの動機づけをサポート



下記以降は、プログラムの概要です。

実習生と指導者で評価したデーターを、介護事業者に時系列化された報告書としてメールで送られ、その結果を基に指導者が指導に役立てます。


1.パーソナリティ 2.キャラクター 3.自己開示性・社交性
性格は、変化します。 心のエネルギーが安定すれば落ちつきます。性格を知ることは、指導に役立ちます!

1.業務面不安度 2.生活面不安度
不安の内容、高さを知ることが指導に役立ちます。不安も変化します。時系列の調査が必要です。



 介護用語の理解度チェックです。これらの言葉がどれだけ自分のものになっているか時系列で調査していきます。学ぶモチベーションになります。また、褒める材料にもなります。



ピーエムシーの「成長サポートプログラム」は、日本人の新人育成と在日外国人介護士育成が大きなノウハウで作られています。

大きなポイントは、不安を知ることです。
日本人も外国人も変わりません。いかに不安なことが何かを知ることです。

護事業所や指導者の皆さんは、「早く覚えて欲しい」が先行してしまいます。
実習生は、恥ずかしいから中々、わからないが言えません。
これは、日本人も在日外国人もEPAも、そして介護留学生も同じです。

ピーエムシーの想いは、「外国人介護技能実習生の皆さんが、頑張って楽しく働いてもらいたい」、そんな想いでプログラムを作っています。

 また、外国人介護技能実習生の人材育成こそが、日本の介護事業所の「質」と「量」の好循環になると考えています。

人材育成は、とても大切ですね!





このエッセイは、外国人介護技能実習生の人材育成について、一つの提案をしています。
ピーエムシーの「成長サポートプログラム」を紹介していますが、いろいろな意見があると思います。
実際、日本人の新人育成も中々できていない中で、本当に外国人の育成ができるのかという本質的な問題もあります。弊社は、主に新潟県だけですが、結構、人材育成の実績があります。いろいろな意見交換をさせていただければ幸いです。









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