「一人前」の介護職員を作ろうではないですか!④ チーム育成の重要性について学ぶ


今回のブログは、新人育成におけるチーム育成について考えてみます。

導者は、常時、新人と一緒に入れません。そのため、新人に関わる工夫が必要です。


1.新人育成の現状について

施設の新人育成の体制は、それぞれの施設で異なり、それぞれの工夫があると思います。
以下に、議論のたたき台として、一つの事例としての新人育成の体制を書いてみます。


Ⅰ.入社前の新人職員オリエンテーション
Ⅱ.入社時オリエンテーション、組織人としての心構え、組織の規則、仕事内容の理解を学ぶ
Ⅲ.配属施設でのOJT育成
  1. 新人に専任の指導者をつける
  2. 23ヶ月の間、研修日誌、技術評価などを活用して育成を行う
  3. 専任の指導者不在の日は、日の担当者を選任して指導する
  4. 新人が書いた研修日誌に対して、その日の担当者or指導者が返信する
  5. 技術評価表を用いて、担当者or指導者が足りていないところを指導する
  6. 1ヶ月、3ヶ月目に、指導者と上司とともに面談を行う
  7. 3ヶ月間の研修日誌が終えたあと、シフト上1人勘定で現場に業務させる
  8. 何かあれば指導者に相談する。指導者はこの時期から、新人と会う機会が少ない
  9. 指導夜勤を数回行った後、夜勤を1人で行う。事実上の「ひとりだち」
  10. 6ヶ月目に、指導者と上司とともに面談を行う
  11. 36ヶ月で指導者がお役目ごめんの施設もあれば、1年継続する施設もある
特養(従来、ユニット)、老健、グループホーム、ディサービス等、事業所の違い、新人育成期間
3ヶ月~12か月)の違いはありますが、おおまかに介護職場の新人育成のOFF-JTOJTは上記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(111)までの流れです。

研修日誌のある23ヶ月までは、指導者のいない時も、他職員がその日の担当者として、新人に関わり育成しており、新人育成としての指導者とチーム職員との連携はあります。

しかし、『研修日誌が終えた3ヶ月目以降は、新人との接点は急激に少なくなり、新人がどこまでできているのかが、わからないのが現状です。』と指導者からのコメントがあるように、組織的なチーム育成の仕組みは3ヶ月以降ないのが多くの職場のようです。

『研修日誌がある期間は、困ったことやわからない事などは、指導者やその日の担当者からのコメントや指導で、教えてもらうことができ不安や悩みは少なくなりましたが、1人で仕事をする様になったら、わからない事など聞くタイミングがなく、不安や悩みが新たに出てきました。』と新人からのコメントもあります。

介護職場のOJTの現況の仕組みは、入職から3ヶ月目までは有効に利いて不安や悩みを軽減していますが、シフトで1人工になった段階から、業務に対する不安や悩みがまた、高まってきています。新人は3ヶ月目の指導ギャップ」でモチベーションが急激に下がる傾向が見られます。

下図は、月間老施協20175月号「介護人材確保・育成術」からの引用図です。
入社3ヶ月目で新人職員のモチベーションが急激に下がることがわかると思います。



2.チーム育成について

弊社の新人職員育成100日プログラムでは、昨年から力を入れてきているのが「チーム育成」です。新人の3ヶ月目の指導ギャップ」を含めた不安や悩みを継続的に減らしていくためには、チームでの育成がとても重要と考えています。


下図は、弊社が考えるチーム育成の相関図です



指導者が①受入チームにお願いすることから始まります!

① 指導者が、受入チームの職員に新人の指導・承認をお願いする
② 受入チームの職員が、新人に指導や承認を行う
③ 受入チームの職員が、新人に指導や承認した事を指導者に伝える
④ 指導者は、新人に受入チーム職員からの指導や承認に対してフォローする
①´リーダーは、受入チームに協力を依頼する
⑤ 指導者は、リーダーに新人育成の報連相を行う
⑥ リーダーは、指導者に対してスーパーバイズを行う
⑦ 主任は、総括的に関わる

状況により(リーダー育成:リーダーに部下育成力が足りていないため)
・指導者の位置にリーダーを
・リーダーの位置に主任(副任)を
・主任の位置に施設長を        
転換させることもあります。

この「チーム育成」が上手く継続的に活用されると、「3ヶ月目の指導ギャップ」による新人職員のモチベーションの低下が抑えられ、新人の不安や悩みが軽減し、新人の成長が期待されます。


「谷さん、うちはチーム育成できているよ!」
であれば宜しいのですが、実態はできているようで「できていない」ではないでしょうか。

だから「3ヶ月目の指導ギャップ」があり、新人のモチベーションが急激に下がるのです。

話の論点がずれるかもしれませんが、指導者の能力が大きく影響しています。
『①受入チームに新人の指導・承認をお願いする』ができない指導者が多いのです!
この事が「わかる、できる」指導者育成の仕掛け・仕組み作りは必要です。

この「チーム育成」を上手く継続的に動かすためには、指導者自身が受入チーム職員に、お願いすることから始まります。実は、このお願いする行為自体が、指導者を成長させ、受入職員にも人を育てる事に対する考え方が感化されていきます。

すなわち、指導者、受入チーム、リーダーも人を育てることによる個々の成長が期待され、新人1人の成長への挑戦が、複数人の成長をも期待できる大きな仕組みとしての「チーム育成」になります。

「チーム育成」は、SL理論「新人育成版」の「S2コーチ」「S3支援」「S4委任」の指導支援に大きく影響します。チーム職員の協力があってのSL理論であり、「一人前」の職員作りにも貢献します。





次回は、そうは言っても現実の職場は、上手くいってません。その点を紐解いてみます。





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