今回のブログは、新人育成におけるチーム育成について考えてみます。
指導者は、常時、新人と一緒に入れません。そのため、新人に関わる工夫が必要です。
1.新人育成の現状について
施設の新人育成の体制は、それぞれの施設で異なり、それぞれの工夫があると思います。
以下に、議論のたたき台として、一つの事例としての新人育成の体制を書いてみます。
Ⅰ.入社前の新人職員オリエンテーション
Ⅱ.入社時オリエンテーション、組織人としての心構え、組織の規則、仕事内容の理解を学ぶ
Ⅲ.配属施設でのOJT育成
- 新人に専任の指導者をつける
- 2~3ヶ月の間、研修日誌、技術評価などを活用して育成を行う
- 専任の指導者不在の日は、日の担当者を選任して指導する
- 新人が書いた研修日誌に対して、その日の担当者or指導者が返信する
- 技術評価表を用いて、担当者or指導者が足りていないところを指導する
- 1ヶ月、3ヶ月目に、指導者と上司とともに面談を行う
- 3ヶ月間の研修日誌が終えたあと、シフト上1人勘定で現場に業務させる
- 何かあれば指導者に相談する。指導者はこの時期から、新人と会う機会が少ない
- 指導夜勤を数回行った後、夜勤を1人で行う。事実上の「ひとりだち」
- 6ヶ月目に、指導者と上司とともに面談を行う
- 3・6ヶ月で指導者がお役目ごめんの施設もあれば、1年継続する施設もある
3ヶ月~12か月)の違いはありますが、おおまかに介護職場の新人育成のOFF-JTとOJTは上記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(1~11)までの流れです。
研修日誌のある2~3ヶ月までは、指導者のいない時も、他職員がその日の担当者として、新人に関わり育成しており、新人育成としての指導者とチーム職員との連携はあります。
しかし、『研修日誌が終えた3ヶ月目以降は、新人との接点は急激に少なくなり、新人がどこまでできているのかが、わからないのが現状です。』と指導者からのコメントがあるように、組織的なチーム育成の仕組みは3ヶ月以降ないのが多くの職場のようです。
『研修日誌がある期間は、困ったことやわからない事などは、指導者やその日の担当者からのコメントや指導で、教えてもらうことができ不安や悩みは少なくなりましたが、1人で仕事をする様になったら、わからない事など聞くタイミングがなく、不安や悩みが新たに出てきました。』と新人からのコメントもあります。
介護職場のOJTの現況の仕組みは、入職から3ヶ月目までは有効に利いて不安や悩みを軽減していますが、シフトで1人工になった段階から、業務に対する不安や悩みがまた、高まってきています。新人は「3ヶ月目の指導ギャップ」でモチベーションが急激に下がる傾向が見られます。
下図は、月間老施協2017年5月号「介護人材確保・育成術」からの引用図です。
入社3ヶ月目で新人職員のモチベーションが急激に下がることがわかると思います。
2.チーム育成について
弊社の新人職員育成100日プログラムでは、昨年から力を入れてきているのが「チーム育成」です。新人の「3ヶ月目の指導ギャップ」を含めた不安や悩みを継続的に減らしていくためには、チームでの育成がとても重要と考えています。
下図は、弊社が考えるチーム育成の相関図です
指導者が①受入チームにお願いすることから始まります!
① 指導者が、受入チームの職員に新人の指導・承認をお願いする
② 受入チームの職員が、新人に指導や承認を行う
③ 受入チームの職員が、新人に指導や承認した事を指導者に伝える
④ 指導者は、新人に受入チーム職員からの指導や承認に対してフォローする
①´リーダーは、受入チームに協力を依頼する
⑤ 指導者は、リーダーに新人育成の報連相を行う
⑥ リーダーは、指導者に対してスーパーバイズを行う
⑦ 主任は、総括的に関わる
状況により(リーダー育成:リーダーに部下育成力が足りていないため)
・指導者の位置にリーダーを
・リーダーの位置に主任(副任)を
・主任の位置に施設長を
転換させることもあります。
この「チーム育成」が上手く継続的に活用されると、「3ヶ月目の指導ギャップ」による新人職員のモチベーションの低下が抑えられ、新人の不安や悩みが軽減し、新人の成長が期待されます。
「谷さん、うちはチーム育成できているよ!」
であれば宜しいのですが、実態はできているようで「できていない」ではないでしょうか。
だから「3ヶ月目の指導ギャップ」があり、新人のモチベーションが急激に下がるのです。
話の論点がずれるかもしれませんが、指導者の能力が大きく影響しています。
『①受入チームに新人の指導・承認をお願いする』ができない指導者が多いのです!
この事が「わかる、できる」指導者育成の仕掛け・仕組み作りは必要です。
この「チーム育成」を上手く継続的に動かすためには、指導者自身が受入チーム職員に、お願いすることから始まります。実は、このお願いする行為自体が、指導者を成長させ、受入職員にも人を育てる事に対する考え方が感化されていきます。
すなわち、指導者、受入チーム、リーダーも人を育てることによる個々の成長が期待され、新人1人の成長への挑戦が、複数人の成長をも期待できる大きな仕組みとしての「チーム育成」になります。
「チーム育成」は、SL理論「新人育成版」の「S2コーチ」「S3支援」「S4委任」の指導支援に大きく影響します。チーム職員の協力があってのSL理論であり、「一人前」の職員作りにも貢献します。
次回は、そうは言っても現実の職場は、上手くいってません。その点を紐解いてみます。
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