47.「成長する組織」への挑戦 -5

厚生労働省は、1022日に「2040を展望した社会保障・働き方改革本部」(以下、改革本部)を設置し、下記施策の方針を提示しました。


2040年にかけて医療・介護サービスの従事者確保が困難になるため、生産性の向上が重要となってくる。ロボットやAI等の活用、タスク・シフティングの推進などとともに、医療機関・介護事業所等の「大規模化」や「協働化」に向けた検討を進めていく』

上記補足として
2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その後、2040年にかけて高齢者人口の増加は続くものの、その伸び率は鈍化しますが、生産年齢人口が急激に減少していくことが分かっています。このため、「医療・介護等のサービス従事者の確保」が難しくなり、また公的医療保険・介護保険制度を初めとする社会保障の存立基盤が極めて脆くなっていきます』としています。

これは、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了し、今後、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年度を見据えた検討を進めているようです。2040年を見通すと、現役世代の減少が最大の課題のようです。

下図は、厚労省が2016年に示した202538万人の介護人材不足の予想図です。

平成29823日社保審-介護給付分科会資料

国は、2040年に関する介護人材不足の数値をまだ出してきていません。が、おそらく38万人どころでなく、相当数の不足になるのでしょうね。人が足りない財政が厳しい、そのための心構えというか準備のための改革本部の立ち上げでしょうか。
さて、20年先のことはとりあえず国にお任せしておいて、我々は、6年先の2025年を一つの目標として、法人施設がどうあるべきかを考えていくことかが必要と思われます。

新潟県として2025年には、4千人の介護人材が不足すると言われています。今いる人材の10%の不足です。また、2025年を過ぎた以降も更に介護人材は大きく不足していく事、国の財政基盤の脆弱性に伴う介護報酬の改定など法人の経営基盤の見直しを含めて、我々は物事を考えていく必要があります。2025年で一区切りではないという事です!

厳しいですね。

さて、国は2025年の全産業600万人の人材不足に対して下記4つの施策を上げています。
  1. 働いていない女性の活用
  2. 高齢者の活用
  3. 外国人の活用
  4. 生産性の向上(ロボット、AI、ICT)
1~4  一つひとつとても大切なことであり、法人として積極的に取り組みをしていくことが肝心です。
例えば、業務やシフトの見直しで1時間単位のパート業務の作りこみで働いていない女性を囲い込む、今60歳の職員がいたとすれば、70歳まで勤めてもらえる働き方改革の推進、外国人を受け入れる環境作り、積極的な展示会等の参加によるロボット・AI・ICTの取り込みなど、広く視野を広げていくことが法人の対応として必要です。

しかし、ここで重要なことは、介護だけが人が足りないでなく、全産業で「人がいない」であり、全産業で「人の取りあい」になります。当然のごとく「賃金」の高低差が大きな人材確保の要点になることは否定できません。具体的に言えば、外国人介護士においては、都会で1200円以上という時給と、田舎で850円ではSNS時代かつ稼ぎたい気持ちのある外国人を確保することは難しいことです。

また、高齢者の活用を国は盛んに言われています。たしかに働ける人は、頑張って働いてもらうことは、素晴らしいことですが、これもあと5年です。団塊世代の高齢者は、2025年で75歳以上になります。働ける高齢者が減っていく現実があります。

本当に厳しいですね。

いろいろな努力をして何とか人材を確保して2025年に達しても、その先もずーと人材の確保に振り回される事になります。

下記の話が「できるか」「できないか」は、それぞれの皆様の考え方です。

福祉の社会で人材確保、財政を含めて「生き残る」ためには、「働きやすい職場」を創ることです。自社の職員が、心からの気持ちで「うちの職場に来ない」と人に言える職場を作ることです。金銭で誘う外的動機付けでなく、心からの内的動機付けで誘える職場創りです。

そのためには、「質と量の好循環」に向けての人材育成の仕組みの構築です。



多くの法人施設は、「厳しいけど何とかなっている」が現実な気持ちではないでしょうか。
2025年で一区切りするならそれもありでしょう。

しかし、
2025年が過ぎたら、2040年に向けて更に加速度をつけて「人がいない」「財政が厳しい」が続いていきます。

本当に厳しい日本です。





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