[1]少ない職員でも質の高いサービスを継続的に提供できる体制づくり


私のエッセイは、「人材育成」が「人材確保」へと繋がり、かつ「職員の働きやすさ」と「法人の利益」へと発展し、厳しい社会情勢の中でも「質の高いサービスの継続的な提供」の追及ができる組織体への変革を目的として書いています。

ピーエムシーは10年以上前から介護職員の新人育成をテーマに研究開発してきています。その新人育成のノウハウの積み重ねから、指導者育成、リーダー育成、管理者育成へと繋がり、前段のテーマである「人材育成」「人材確保」「職員の働きやすさ」「法人の利益」へと繋げていける、介護職員の育成方法を研究開発してきています。

なぜ、研究開発かと言うと、福祉、介護の概念は共通なのでしょうが、介護現場の管理者の解釈の在り方一つで介護現場の状況はそれぞれです。一つの例で言うと、潤沢な人員配置もあれば、配置基準ギリギリもあります。しかし、介護の質や職員のモチベーションは様々で、潤沢であっても介護の質やモチベーションが低い事業所もあり、その反面、配置基準ギリギリでも介護の質やモチベーションが高い事業所もあります

ピーエムシーは、新人育成から始まり、これらいろいろな介護事業所の研修に携わりながら、それぞれの介護事業所の状況を紐ときしながら、少しでも多くの介護事業者に役立てる「人材育成」のプログラムを介護社会に出せる様に研究開発しています。


下図は平成29年度実態調査に伴う介護老人福祉施設収支差率分布図です。

下表は、平成28年度決算に伴う介護老人福祉施設の指標です。

上記の図および表から見えること
(地域区分別、定員規模別、ユニット別の考察は入れていません)

  1. 介護老人福祉施設収支差率分布図から、平成28年度の収支差率の平均は1.6%ですが、収支差5%以上ある事業者は30%以上あり、収支差10%以上を越える事業者が13%もあることがわかります。

    介護老人福祉施設収支差率分布図から、介護老人福祉施設は運営の仕方で10%以 上の収支差率を作ることができることがわかります。
  2. 平成28年度決算に伴う指標から、介護料収入は平成25年度から9%下がり、収入は、他収入含めて25年度に対して96%、支出は25年度に対して103%で、その多くが給与費で25年度に対して7%上がっている現実が見えています。そんな中で看護・介護(常勤換算)の1人当たりの利用者数に関しては、平成25年度も28年度も同じ2.0で変化がありませんでした。

    看護・介護(常勤換算)の1人当たりの利用者数に着目してみました。「人の確保」に厳しいと言われている中で、看護・介護の職員数は平成28年度も平成25年度と同等な職員数が確保されていたことがわかりました。

    10%以上の収支差率をあげている事業所の内容は、このデータからはわかりませんが、人件費率が高い介護事業所にとって、看護・介護の1人当たりの利用者数が2.0より多い2.2前後になっているのではないかと、この平成28年度決算に伴う介護老人施設の指標からは推測されます。収入を上げるか、人件費を下げるかのどちらかになります。

ブログで書き続けている「人がいない」は現実です。


新潟県内の介護老人福祉施設の離職率は、7%前後と、全国平均16%に対してとても低い数値ですが、7%の値は50人の介護事業所で考えれば毎年4人の退職者が出ている事になり、その補充が毎年必要になります。しかしながら、定期採用や中途採用が思う様にできなく人材の補充が十分でない介護事業者がほとんどな状態です。

 
つまり、毎年7%の退職者がいれば、その補充が求められ、その補充ができない分が累積して人が少なくなっていく理屈です。




 
介護事業者の使命は「質の高いサービスを継続的に提供する」ことです。そのためには「少ない職員でも、質の高いサービスを継続的に提供できる体制にしなければならない」という事になります。
 
しかしながら、介護職員からの声は「人が足りていない」「残業が多い」「公休が取れない」「有給がとれない」「思うように休めない」「十分なサービスを提供できない」「疲れる」「上の人は現場がわかっていない」等々が聞こえてきます。
 
このままでは不満を持った職員が退職するか、利用者の受入数を減らし、職員の負担を少しでも減らす事になってしまい、収支差率がよりマイナスになってしまいます。
 
新潟県の特養ユニット型での看護・介護職員1人当たりの利用者数は1.55人(全国1.7人)ユニット型以外では1.83人(全国2.1人)と全国に比べてある意味潤沢な配置になっています。人を減らすことが目的ではないですが、何とかできる今こそ「少ない職員でも、質の高いサービスを継続的に提供できる体制にしなければならない」が介護事業所の喫緊の課題となってきます。

 
以前書いたブログ《「質」と「量」の好循環の事例》の時の、特養ユニットの看護・介護1人当たりの利用者数は2.3(平成28年度決算指標では1.7)で、給与費率は56%(平成28年度決算指標では62.3%)です。この事例の特養の職員は、自社の施設の強みとして、「向上心日本一」「人の良さ、意見が出しやすい」「情報をあいまいにしない」「笑顔が絶えない」等前向きです。
 
 
簡単な事ではないですが、できない事ではないと考え、支援をしている私がいます。


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