今回のブログでは、チームリーダーのキャリアパスと育成について考えてみます。
下表は、平成28年10月資料の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会が提言しているチームリーダー(ユニットリーダー・フロアリーダー・副任クラス)が担うべき役割と必要な能力についてです。わかりやすく整理されていると思います。
出典:厚生労働省 第6回社会保障審議会福祉部会 平成28年10月5日資料
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キャリアパスガイドライン(素案)公益社団法人 全国老人福祉施設協議会より抜粋
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皆さまの法人でのチームリーダーの役割や能力を規定した職能要件はいかが定義し明文化されていますでしょうか?上記の表のように、具体的な職能要件を作成している法人は少なく、多くは全国老人福祉施設協議会の次表「キャリアパスガイドライン(素案)」に沿って、抽象的な表現で作成しているようです。
下図左は何度もエッセイで出てきている「介護人材のキャリアパス全体像」です。
厚生労働省は2017年10月の報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」で具体的な方策をとりまとめ、その具体的な提言の一つとして介護職のグループにおけるリーダーの育成であるとしています。つまり、施設単位の介護現場の人材育成の骨格が、リーダーの育成ということです。
下表右は、左図の介護人材のキャリアパス全体像に対して、職群、職位と施設の構成比率を表しており、リーダー職は一般職の上位として位置する法人が多いようです。
また、下図からはリーダー職が施設全体で重要なポジションであることがわかります。
今回、考えなければならないポイントは、現場のリーダー職に対して、「リーダー職にそこまで求めていない」、また「求められない」というのが介護の職場の本音であり、ここに理想と現実のギャップが生まれてきていることです。
皆さまは、「リーダー職にそこまで求めていない」、「求められない」のどちらでしょうか、または「求めていかなければならない」でしょうか?
下記●印から考えてみます。
●法人の職能要件は、リーダーにマネジメントやリーダーシップを求めています。
- 組織人として自覚を持ち、初任者等の模範となる行動ができる
- 一般的介護知識・技術と職業倫理をもって、チームケアが形成できる
- チームメンバーへ働きかけて、意欲を引き出すことができる
●法人の研修体系は、リーダーに介護力や社会力に関する専門的な知識・技術の向上として、「認知症ケア」、「感染症」、「虐待防止」、「看取りケア」などの法定研修や専門的な技術研修の実施や、法人の階層別研修としてのリーダーシップ研修、また外部の「ユニットリーダー研修」「認知症介護実践リーダー研修」等を組み込んでいます。
●法人・施設は毎年の事業計画の中で、人材育成を主としての研修計画を立て実践してきています。
上記の事から、リーダー職にはマネジメントやリーダーシップを求め、毎年の事業計画に伴う研修計画や実施から鑑み、「リーダー職にそこまで求めていない」という施設長、管理者はいないはずですが、現実の職場でのリーダー職の在り方や現状を見ていると「求めたいけど、そこまで求められない」というのが本音ではないでしょうか?
『人がいない、忙しい、会議がたくさんある、委員会活動、イベントの用意、個別ケア、利用者目線のサービス、家族対応、看取り、医療など多職種連携、シフト調整、職員対応、上司対応などなど』チームリーダーには負荷がたくさんかかっています。
しかしながら、「求めたいけど、求められない」では毎年の研修計画と実施が生かされていない事になり、キャリアパス自体が形骸化しているという事にも繋がってきます。
下記は弊社斉藤研究開発室長の「施設長への提言」からの引用です。
現況の研修の成果と課題、そしてこれからの施設の在り方について書いています。
今回は、リーダー職のキャリアパスからリーダー職が担うべき役割と必要とする能力について考えてみました。リーダーは、キャリアパス上は、一般職の上位で初級指導者ですが、施設単位で考えた場合、とても重要な位置づけにいることが、新たに作られた「介護人材のキャリアパス全体像」の富士山型のキャリアパス図で明確になりました。
施設運営は、リーダーを育成する事の重要性の理解と施設長のマネジメントがあってこそ、難しくても「求めていかなければならない」と生きた人材育成への挑戦と施設運営ができるものと信じています。
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